京都の日々々記

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ろうあ者が演じる全編無セリフの映画「The Tribe」を観る

タイトルのとおり、先日映画「The Tribe」を観てきました。

えーいろいろと想像以上に凄まじい映画でした。
 

あらすじ 

ウクライナのろうあ者が通う寄宿舎制のろう学校に転校してきた主人公・セルゲイ。ここは、生徒だけでなく、教員や関係者も皆耳が聞こえない人たちであり、すべてのコミュニケーションは手話によって行われています。
 
貧しく質素ながら、一見平和そうに見えるろう学校。しかし、一部の生徒と学校関係者をも巻き込んだ悪の組織「トライブ」が存在し、夜な夜な強盗や売春を繰り返していました。「トライブ」は厳格なヒエラルキー(スクールカースト)の基づいており、新入りの主人公は最下層に置かれることに。主人公は徐々に組織で頭角を現し、ヒエラルキーの上位へと上がっていきます。しかし、「トライブ」のリーダーの愛人・アナと関係を持ったことがきっかけとなり……
 

感想 

上述のとおり、本作には一切セリフや話し言葉が無く、手話に対する字幕すらありません。(環境音などはあります。)手話が分からない多くの客は、手話をなんとなく読み取るか、場の状況から今の場面を理解するしかありません。この点において、まず普通の映画ではないことが理解できます。

さらに、すべての出演者は俳優ではなく、一般の耳が聞こえないろうあ者が演じています。だからといって演技が素人臭いかというと全くそんなことはなく、むしろどの出演者も演技に異常な説得力を持っている映画だと感じました。音が無いことにより普通声で表現する部分が全身で表現され、人の本能がむき出しになる部分や人と人の生々しいぶつかり合いが先鋭化されています。特に映画のポスターになっている場面や、終盤の20分ほどは凄まじいです。これは、他の映画ではまずもって体験できないと思います。

この映画の監督・ミロスラヴ・スラボシュピツキーが、この映画はろうあ者以外の俳優では撮影したくなかったとインタビューで答えていたようですが、まさにこのとおりだと思います。普段言葉を使わず手話や身振り手振りなどでコミュニケーションをとる人でしか、この説得力はあり得ないでしょう。

私は手話が分からないので、場の状況と手話の動きから今がどんな場面で何が行われているのか読み取る必要がありました。言葉での説明は一切ないものの、場面が理解できないということはほぼなかったと思います。

ただ、1シーンがそれぞれ割と長めなので、シーンの状況は読み取れるものの、手話で行われる個々の細かいやりとりまでは理解できず、少し退屈だな〜と感じる部分はありました。

もっとも、終盤の怒涛の展開〜エンディングによって、そんな印象は吹き飛んでしまったのですが……


とにかく終盤は、一言で言うとえげつないです。見終わった後は恐ろしさや空虚さでしばらく呆然としていました。
 
それぐらい強烈な印象を残してくれる映画です。それ相応の衝撃を受ける覚悟で、ぜひご覧になってみてください。この映画でしか感じられないものがあるはずです。
 

おまけ

この映画は昼間に観たのですが、夜になっても昼間のなんとも言えない恐ろしさや空虚さによる気分が残っており、かなり塞ぎ込んだ気持ちでした。
 
このままの気分で寝るのはなんとも辛かったのです。そこで、この日公開になったものの本当はもう少し後から観に行く予定だった、「海街diary」のレイトショーを急遽観に行きました。
 
海街diaryの感想はこちらです。 

sunstar78.hatenablog.com

 

そして無事、海街diaryに癒されて帰ってきました(笑)。