2014年、2015年と、アメリカの大手旅行誌「トラベル+レジャー」が発表する世界の人気観光都市ランキングで、2年連続で1位となった京都市。残念ながら、2016年は世界6位へとランクダウンしてしまいました。
なぜ6位へランクダウンしてしまったのか、京都市の「平成26年 京都観光総合調査」を参照しながら、少し考えてみたいと思います。
2016年 世界の人気観光都市ランキング
世界の人気観光都市ランキング。まずは、今年のランキングを見てみましょう。
1位はアメリカのチャールストンで、2位には同じアジアからタイのチェンマイが続きます。京都は前年の1位から6位へと順位を下げました。
ちなみにこのランキングに5年連続で入賞しているのは京都とフィレンツェだけとのことで、意外と入れ替わりの激しいランキングです。
京都市が世界1位でなくなった理由
京都市が人気観光都市ランキングの1位ではなくなったのはなぜなのでしょうか。
京都市の見解としては、「有名な観光地が混雑していることが影響したと思う」という京都市担当者のコメントが京都新聞に掲載されていました。
京都に住んでいる肌感覚としても、ここ1、2年あちこちの観光地や繁華街が観光客であふれていることが感じられます。
観光地が混雑しているだけでなく、観光地までの道やバスなどの公共交通機関も混雑しており、これらを含めて観光の満足度が下がる理由の一つだと思います。ピーク時の混み方は、正直、私が観光客なら「混みすぎてて行きたくないなー……」と思うほどです(笑)。
増え続ける観光客
京都市「平成26年 京都観光総合調査」より
京都市を訪れる観光客は、2013年、2014年と2年連続で5,000万人を超えています。
京都市は2000年に「観光客5000万人構想」を計画し、当時年間4,000万人であった年間の観光客数を、10年後の2010年に5,000万人とすることを目指して取り組んでいました。
その取り組みのおかげもあり、計画より2年早い2008年に、年間5,000万人の観光客を取り込むことに成功しました。
年間5,000万人の目標を達成したあとも観光客数は順調に推移し、人気観光都市ランキングではじめて1位を受賞した2014年には、過去最高の5,564万人にまで増えたのでした。
京都市「平成26年 京都観光総合調査」より
観光客の数が増えるにしたがって、外国人観光客の数も増えています。
2000年には94万人だった外国人宿泊者数は、2014年には134万人にまで増加しました。2014年、2015年とランキング1位であったことから、2015年以降も同レベル以上の宿泊者数が予想されます。
混雑という問題
これだけ観光客が増えれば、混雑の問題が起こってくるのもうなずけます。
調査では、観光客が京都観光で感じる不満の1位は、「電車・バスなどの公共交通機関」で、2位は「人が多い・混雑」でした。
観光客が増えてくる間、京都市も混雑対策を行ってこなかったわけではありません。
観光の閑散期に人を呼ぶための「京都・花灯篭」というライトアップイベントを開始したり、「歩くまち・京都」をスローガンにマイカーを抑制して公共交通機関を推奨したりするなど、さまざまな施策がなされています。
京都市「平成26年 京都観光総合調査」より
実際、2010年のスローガン制定後、京都へ観光に来るときの交通手段として長年30%を占めていたマイカーが、2014年には10%を切るところまで減少しています。
5年間で3分の1になったというのは急に減りすぎているようにも感じられますが、かつてマイカーで観光に来ていた人のうち多くが鉄道などに切り替えたのは間違いなさそうです。
このような施策が行われているにもかかわらず混雑が問題となっている現状を考えると、さらなる混雑対策の必要性を感じます。これ以上混雑がひどくなれば、観光するモチベーションが下がる人も多いはずです。
とはいえ、相当の取り組みはすでにされているので、何があるかというとなかなか思いつかないのですが……。
1つには、東山や嵐山といった有名すぎる観光地と比較して、相対的に混雑していない場所の魅力を上げて観光客を増やすことや、京都水族館や鉄道博物館ができて人気が出た梅小路公園のように、これまで観光地ではなかった場所で新たな魅力を開発していくことが必要だと思います。
現在の観光スポットだけでは、観光客を受け入れられるキャパシティ的な限界が近づいているのかもしれません。
別調査では魅力的な世界の都市ランキング2位に(2016年10月19日追記)
一方で、アメリカの旅行誌「コンデナスト・トラベラー」による「魅力的な世界の都市ランキング」(アメリカを除く)では、京都が世界2位になりました。前年は9位だったようで、こちらでは大きく順位を上げたことになります。
ちなみに本調査の1位は東京で、日本の都市が1位・2位を独占しました。政府や自治体の取り組みもあり、観光における魅力は京都だけでなく日本全体で増してきているようです。
まとめ
以上、「トラベル+レジャー」の人気観光都市ランキングで京都市が6位になったニュースと、6位に転落してしまった背景についての考察そして改善策についてでした。
京都を観光する人が増えるのはうれしい半面、京都の住人としても混雑が気になるときもあります。
より快適に観光できるようになれば、より快適に住めるということにもつながるので、この混雑が解消されていけばいいですね。